イタリアで行われている冬季オリンピックの話題で日本中が湧いている。テレビをつければ、どこのチャンネルもオリンピック一色である。実は、私はスポーツのニュースが苦手である。選手たちの活躍の映像とともに流れる「不安と恐怖に打ち勝って」という言葉に胸を締め付けられて、つらくなるからである。全くスポーツなどしない私でも、その言葉だけで十分すぎるくらいその状況が想像できる。
現在の私には不安や恐怖が無いのか、と問われれば、当然あると答える。でもその大きさはオリンピック選手のそれと比べれば象とアリくらいの違いがある。それでも、できれば避けたい。だからつい危なそうな場所や事柄から逃げたくなる。家に引きこもりたくなる。
私にとっての不安と恐怖の象徴的なものが、「月曜日に初めての場所に行く」ことである。そのストレスは、大げさだと思われるだろうが、心身にダメージを与えかねない。だから、最近数年は、それを避けてきた。しかし、避けられない状況が増えている。明らかに、新しいことを始めたからである。初めての場所へ行き、初対面の人と会い、やったことのないことをする。しかも、月曜日に。これがストレスにならないわけがない。
中でも私が最もストレスと感じるのが「初めての場所へ行く」ことである。初対面の人に会い、初めてのことをするのには、50年を超える仕事の中でかなり慣れている。しかし、地理的な問題や交通については、日々状況が変化しているので、過去の経験はほぼ役に立たない。しかも、かなりの方向音痴である。さらに、年齢の問題もあり、スマホを駆使して臨機応変に対処することがかなり困難になっている。お陰で、駅で30分以上時間をつぶしたり、寒空の吹きさらしの場所で15分くらい立っていたりすることが多い。
月曜日は、人身事故や車両トラブルなどで、必ずと言ってもよいくらい電車が遅れる。多くの路線を乗り継いでいるときなどは、いつ着くのか予測できないくらいになってしまう。到着できれば幸いだ、くらいに構えていなければならない。混雑も体力を奪う。「月曜日に初めての場所に行く」ことは、高齢者にとって「不安と恐怖に打ち勝つ」に値するのだ。やはり、逃げて家に引きこもるしかないのか。いや、それは違う。
冬季オリンピックを観ていて(何だかんだ言って結局観ているのか)感じるのは、十代の若い選手は「楽しむ」が不安を押しのけているように見える。一方、ベテランになるにつれて、不安や恐怖が増しているようだ。だから実力が出し切れないのかもしれない。怖さを経験していないゆえの強さ、怖さを経験してしまったことによる不安、のせめぎあいなのだろう。スポーツ以外でも同じである。私も、若いときは今よりずっと自信に満ち溢れていて、初めてのことにも果敢に挑戦できていたように思う。今は、先走って不安材料を見つけ出しては怖がって逃げている。それを打開するもう一つの道がある。自分を追い込んで「不安と恐怖に慣れる」ことである。
人生100年時代、生涯現役でいたいのなら、こんなちっぽけな悩みは克服するしかない。さあて、今日も出かけるぞ。帰れば小さなプレゼントが待っている。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)

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月曜日に初めての場所に行く
2026.2.15

