今回のテーマはAIに関することではない。言ってみれば、世の中でよく言われる「家電あるある」の話題である。すなわち、動かなくなった家電に、「新しいの買っちゃおうかな」などと話しかけると急に動き出す、といった現象に関する話である。さすがに、昔とは違って『動かないから叩く』などということは無い。その代わり、動くように脅したり泣きついたりする。するとなぜか動き出す。私の家の家電のように古いものばかりの場合は、話しかけるまでもなく、『不具合=寿命』と判断されて『あの世行き』となってしまうのだが。
さて、わが家で微妙な立ち位置にあるのがパソコンである。何とか使えるレベルのものが6台ある。そのうちの3台は仕事で使っている。しかし、各々何らかの問題を抱えている。それを「騙し騙し」、つまり、使える部分を最大限に生かし、問題のあるところには負担をかけず、一番良い状況で使うようにしている。お陰で、新しいものを購入することなく、仕事に支障のない使い方ができている。まあ、その状態が後どれくらい続くかは不明だが。
最もよく使うパソコンが今回の話題の主である。立ち上がりは早く、処理も速い。1日に合計7,8時間は使っている。ところが、半年位前から画面が乱れたり、揺れたり、滲んだりすることが起きてきた。それは、何度か再起動すると直り、その後はシャットダウンするまで何時間も美しい画面が続く。不思議なことに、最初に立ち上げた段階から美しい画面の時も結構あるし、何度も再起動してもなかなか美しい画面にならないこともある。再起動が続くときは、つい「ポンコツ!いい加減にしろ」と言ったり、「新しいパソコンに変えるぞ」と言ったりするのだが、すると急に画面の乱れがピタリと止まり美しくなる。他にも、パソコンや外付けのディスプレイをAmazonで検索した後に、最初に立ち上げた段階からすぐに美しい画面を出したりするので笑ってしまう。全く、人間の言葉を理解して、自分はまだ大丈夫だ、捨てないでくれとアピールしているようである。
実は、ポンコツパソコン(ポン子と呼んでいる)との攻防が半年近く続き、傾向が分かってきた。暑さ、寒さ、湿度などとの関連はない。静電気の影響もない。まして、人間の言葉を理解しているわけでも私をからかっているわけでもない。全てランダムに起きて居る。これは電子機器の仕組みを熟知している専門家にしか分からない領域の話である。これ以上新しいパソコンを買いたくないので、ポン子とのやりとりを楽しむしかない。
同じようなことを考えた場面があった。昨年100歳になった母である。車椅子生活で手も不自由ではあるが、病気を抱えているわけではない。一見すると元気である。しかし、私を娘とは認識できない。それでも会話は成り立つのである。だから、半年前まで母が私を認識して会話しているとばかり思っていた。しかし、明らかに直前のことしか記憶していない。それに対して反射的に言葉を放つ。だから介護してくれる高齢者施設の方の言葉を理解して食事の支援を受けることもできるし、その場では見事に会話が成り立っているのだ。
一瞬であっても、自分のことを理解してくれた、意思疎通ができたと感じられるのは幸せなのかもしれない。これもコミュニケーションの一つだと思うことにしよう。
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所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)

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機械は人間の言葉を理解しているのか
2025.3.2