断捨離という言葉を聞くといつも憂鬱になる。長く暮らしている場所には多くのものが溢れている。愛着のないものや問題のあるものであれば捨てるのだが、そう簡単な話ではない。困るのは、手に入れたものの一度も使わなかったもの、高額で手に入れたのでもったいないという気持ちを生じさせるものである。そういうものに限って、現在はほぼ無価値で売ることも面倒なだけである。せめて、これから入手するものはこのような事態にならないように気を付けなければならない。
最近は、様々な場面でポイントをためて使うということが広く行われている。私はポイントに引きずられるのが面倒なのであえて距離を置くようにしていた。しかし、それでも自然とポイントは溜まる。マイナンバーカードに保険証や銀行口座を紐づけたときも、電車やバスに乗った時も、近所のスーパーでいつもの買い物をしたときも、生命保険の契約内容確認に応じた時ですら。それだけではない。結婚式の引き出物、葬儀の香典返し、株主優待もカタログになっていて、そこには○○ポイント分の商品と引き換えられると書いてある。そうなってくると、ポイントという言葉は何かが貰えるということに結び付き、つい顔がほころんでしまうのは抑えられない。すると、プレゼントされるのなら、すぐには使わなくてもいつか役立つだろうと思われる品物に交換するということをしてしまいがちだった。その結果、殆ど使わない調理器具やアクセサリーが増えただけになった。まさに最初に書いたことを助長させていたのだ。
そこで考えを改め、新たなポイント交換のルールを作った。将来ではなく今まさに必要なものに換える、それが見つからなければお腹に入ってしまうもの(飲料、食料)、あるいは寄付するということである。最近の交換品は全て必需品として毎日使われている。例えば小さな水筒は氷水を入れて熱中症予防のためのこまめな水分補給に、ノンフライオーブントースターは毎朝食時に、ヘアドライヤーは毎晩の洗髪時に必須である。海の底を思わせるブルーのカーテン、賞味期限が5年間の長期保存食セットは毎日の気持ちを落ち着かせる効果もある。最近は、自分では購入することはないと断言できるクラフトビールのセットと交換したが、夏が終わる前に無くなってしまうことだろう。
昭和の時代には、持っていれば将来役に立つ、あわよくば価値が上がると思われるものが結構あった。困った時に金に換えるように親に言われた品物ほどではなくても。しかし、使われることは殆どなく、場所を取るだけになっている。平成に変わってからは便利な機械器具、変わったおもちゃなども多く開発されたが、それらはすぐに次の世代のより便利、より優れたものにより淘汰されてしまった。しかも、工業製品は大量に出回っていたので希少価値もない。では、将来価値が出そうなものは何だろうか。株式、暗号資産、などは専門家でも先を見通すことはできない。まして素人に分かるはずもない。
いずれにしても、ポイントがたまったら「今必要なちょっと贅沢なもの」に換えて使い倒す、のは一番良い選択ではないか、と後期高齢者の私は考えている。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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将来必要なものより今使うものを
2024.7.14