パソコンの寿命はどんどん短くなっている、と以前このコラムでも書いたことがある。数年前に、それまで最低でも5年は持つだろうと思っていたのを4年に変更した。なぜなら、当時卒業論文の指導をしていた学生の多くが、卒論作成時に自分のパソコンが使えなくなることがあったからである。その後、コロナ禍によってリモート会議、リモートワークが増えるにつれ、私自身のパソコンも頻繁に不具合を起こすようになった。そこで、「パソコンの寿命は3年」とさらに考えを改めることにした。しかし、それも修正しなければならない時が来たようだ。
私がメインのパソコンとして使っているのは、購入してから3年経っていないノート型である。途中でWindows 10からWindows 11に変えた。起動は速いし使い勝手もとてもよく、毎日数時間使い続けていた。これまで何度も経験したパソコンの不具合は殆ど夏場に起こっていたので、常時4つのファンのついた冷却装置の上に設置することで熱くならないようにしていた。ところがこのパソコンが、3年を待たずして廃棄せざるを得ないのかという事態に陥ってしまった。タッチパッドのあたりが膨張し、本体が大きく歪んで閉まらなくなってしまったのである。調べたところ、バッテリーの劣化でガスが発生したことが原因で本体が押されて歪んだようである。解決の方法としてはバッテリーの入れ替えか廃棄処分しかない。つまりこのままでは戻らないということである。
これまでの経験から、いざという時のバックアップ用にWindowsタブレットを準備していた。急遽、メインパソコンをそちらに切り替えることにした。データはOneDriveで共有されていたので、アプリのインストールだけですぐに主役を交代することができた。外付けのキーボードとマウスを接続すれば仕事に支障はない。本体が熱くなりがちだったのも、本体を立ててファンで冷却することで防げている。しかし、こちらにも一つ問題がある。なぜか、画面の色が滲んだりちらついたりする現象が頻発するのである。再起動しても解決しない。しかし、一旦シャットダウンして時間をおいてから起動すると直っていることもある。直ると数時間使い続けても大丈夫である。要するに気まぐれということである。この文章を書いている現在は、画面はきれいである。でも昨日は数時間ちらついていた。結局、諦めの気持ちで自分を騙しながら使うしかないのか。
そんなとき、Apple Vision Pro発売のニュースを見た。今は無理でもこれでいずれはパソコンから解放されるのではないか。理想は、目の前の空間に手を伸ばして画面を切り替え、入力をする。人間が心地よいと感じられる画像を直接脳に届けてもらえる。バッテリーが爆発する恐怖におののくことも、画面のちらつきや滲みにいらだつこともない。重いタブレットをランドセルに詰め込んで学校に行く必要もなく、冷却に気を配ることも減る。
購入したばかりのパソコンがうまく動いていたとしてもいつまで続くかは運しだいだ。バッテリーの劣化など目に見えない。3年を待たずに膨張した私のパソコンは本当に新品だったのだろうか。ああ、早くパソコンから解放されたい。
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所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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パソコンから解放されたい
2024.7.7