私が日替わりで行っているウォーキングのコースにはいくつかの池がある。いずれも、もとは自然の池や沼だったのだろうが、現在は整備されて公園のようになっている。秋になるとカモやオオバンが沢山やってきて賑やかなことこの上ない。そんな中、ある池で素晴らしい出会いがあった。

　昔はその池がどうなっていたのか分からないが、私がウォーキングするようになった2年ほど前には工事が行われていた。今年の春に工事が終わり、池はきれいな水をたたえ、池の周りに遊歩道ができていた。やがて多くのカモとオオバンが泳ぐようになった。最初の頃はカモが圧倒的に多かったが、12月になったらオオバンだらけになった。オオバンが大好きな私は嬉しいと思う一方で、あのカモたちはいったいどこに行ったのだろうと心配になった。まあ、もっと広いところを見つけたのだろうけれど。

　遊歩道に備えられたベンチに座ってオオバンたちを眺めていると、スズメくらいの小さな鳥が2羽飛んできて、池の周りの柵にとまった。その羽根の色は宝石のようなブルーだった。そしてこちら側を向いて飛び上がったとき、お腹の鮮やかなオレンジ色が目に入った。なんという美しい鳥がいるのだろうか。もっと近くに来てほしいと願ったが、残念ながら離れて行ってしまった。家に帰ってすぐに鳥類図鑑を調べ、カワセミであることを確認した。名前だけは知っていたのだが一度も見たことは無い。それどころか、あんなに美しい鳥だとは全く知らなかった。すばらしい体験だった。

　平凡な日々の連続だが意外な出会いはあるものだ。本屋さんで立ち読みしているとき、そしていつものようにパソコンを使っているときであっても。先日もパソコンを開きネットに接続してメールのチェックでもしようと思ったら、「Windows 11にアップデートできます」のメッセージが表示された。いつもは「大学の後期の授業が終わってからゆっくりやろう」と無視をしていたのだが、なぜか『うっかり』ダウンロードのボタンを押してしまった。あれよあれよという間にダウンロードが始まった。それでも普通にパソコンは使えるようである。しかたなくパソコンでの仕事を続け、終わってもそのままにしておいた。私の家のネット環境はあまりよくないからだろうか、ダウンロードに時間がかかっただけでなく、その後のインストールにも時間がかかった。

　じっと待っているのも能がないので、買ってあった新書を読むことにした。関心のあった話題の本なので立ち読みではなく購入したのだが、内容的にはよく知っていること、これまでに盛んに言われてきたことばかりで、得るものが殆どなかった。何と、インストールが終わるまでに読み終わってしまった。これはいったいどう言うことなのか。Windows 11へのアップデートは時間がかかりすぎると怒るべきなのか、我が家のネット環境の悪さを嘆くべきなのか、それともあの新書本の中身の薄さにあきれるべきなのか。

　幸いなことにWindows 11は問題なく動き、大学の授業にも支障はなかった。時々、いつもと使い勝手が違うと感じることはあるが、これも新しい出会いである。