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オリンピック後に広がる恐ろしい世界


2021.08.01


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 今年は梅雨明けが早く、7月中から真夏日が続いていている。ただ、昨年の猛暑の経験から暑さ対策のコツを覚えたのか、部屋の温度管理や熱中症対策はかなりうまくいっている。工夫しながらウォーキングも続けている。部屋にこもっても大丈夫なように、本も何冊かAmazonで購入し積んである。しかし、新型コロナへの向き合い方については昨年とはだいぶ違う。結論から言えば、コロナの感染者数は昨年とくらべて桁違いに多くなっているにもかかわらず、私の行動はかなり緊張感を欠いているように思える。理由のひとつはワクチン接種が完了していること、もうひとつは現在の対策以外にもう打つ手がないということである。マスク、手指消毒、密を避ける、外食しない、これだけである。

 東京オリンピックは予定通り開催され、私も何だかんだ言いつつ開会式は最後まで観てしまった。連日の日本選手の金メダルラッシュで、テレビはどこもオリンピック一色である。予想通り、競技の映像を流し、同じ映像を再度流しながら解説者が解説し、またも同じ映像を流しながらコメンテーターがコメントする。チャンネルを変えても同じ映像が・・・そして、その合間に「東京都の新規感染者数は過去最多の・・・」といったニュースがおまけのように流れている。オリンピックの陰でコロナウィルスは増殖を続けている。オリンピックが終わる頃には、我々はどんな現実と向き合うことになるのだろうか。

 7月の4連休では都内の人流が抑えられていると感じている人もいるようだが、首都圏の人が観光地に移動したのも事実である。道路の混雑や観光地の人出の増加がそれを表している。ということは、首都圏の感染拡大は必然的に外部に染み出している可能性が高い。一般人である私にもそれくらいのことは分かるのだから、当然、専門家には十分分かっているはずである。でも、それは伝わってこない。高齢者の感染率が下がったことや重症者数が少ないことばかりが声高に強調される。日本中がオリンピック一色になり、オリンピックを最後まで行うことが目標になっているのでコロナについては言いたくないのだろう。オリンピックが終わったときに広がっている景色を想像するのが恐ろしい。

家族には内緒にしていたが、7月末に近県の日帰りバスツアーに行くことにしていた。予約したのは第1回目のワクチン接種が終わった頃で、心が浮き立っていたのである。ツアーの日程は2回目のワクチン接種が終わって2週間を過ぎているし、ツアーの説明書によればコロナ対策は十分取られているようなので大丈夫と判断したのである。結局、このツアーはキャンセルしてしまった。理由は、緊急事態宣言でも蔓延防止措置でも、急激に拡大した感染者数でもなかった。10年前に治療した差し歯が土台から取れてしまったことである。しかも義歯をひっかけている歯の隣だったため食事が満足に取れなくなってしまった。これでは旅は楽しめない。これさえなければ、と泣く泣くキャンセルした。人間の行動は、自分が痛みを感じない限り変わらないのだ。

 このままコロナ感染者が拡大し、自分自身や身内、ご近所の人が感染し始めたら私たちの行動は変わると思う。その日は遠くないのではないか。とても恐ろしいことだが。



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