新型コロナ感染収束の決め手がワクチンしかないことはほぼ確実だろう。日本はそれに後れを取ったために、景気の回復が大幅に遅れている。私自身は、かねてより高齢者の優先接種に疑問を感じていた。少なくとも私のような既往症も基礎疾患もない、行動に慎重な高齢者に打つよりも、日本の経済を支えるビジネスパーソン、行動力のある若者(学生たち)を優先した方が感染収束を早めると思っている。だから自分自身の接種は来年になっても致し方ないと腹をくくっていた。しかし、現実は違った。見事に踊らされた。
5月も半ばになると連日ワクチン接種の話題でもちきりになった。1回目を予約した、打ち終わった、というメッセージが知り合いやテレビに出ている有名人の中から次々に現れだした。さらに、政府が7月末までに高齢者の接種を終了させると言い、多数の自治体が可能であると回答していると報道されると、落ち着かなくなってきた。
決定的だったのは、地元の集団接種会場の予約開始日にサイトにアクセスしたところ、何と全ての会場が8月末まで予約で埋まり、9月以降は未定になっていたことである。地元では私は接種の意思がないと見なされてしまったのか。次なる選択肢は東京の大規模接種会場でのモデルナのワクチン接種である。東京には週に何回か通っているので抵抗はない。
大規模接種会場の予約が東京都の隣接県に拡大された日(5月28日)の11時丁度、防衛省のサイトから予約サイトにアクセスした。待たされること15分ほどで予約画面に入れた。データを入力してボタンを押すも画面がなかなか変わらない。そのうちエラー表示になって最初からやり直すように求められた。何とそれが数回に及び、最後の確認まで何度も辿り着きながらエラーで最初からやり直し。1時間過ぎてすべての枠が埋まってしまった。競り負けた。我が家のネット環境の悪さが露呈した。
ここで私の闘争心に火がついた。次の大規模接種会場の予約は5月31日だ。予約サイトの構造を徹底的に調べ、予約体験者のアドバイスも読み、戦略を立て、何度もシミュレーションした。そして当日の11時ピタリにアクセス。5分待たされて予約画面へ。あとは何も考えずに機械的にボタンを押し、予約を完了。マイページで確認して時計を見たら11時7分だった。子供たちに「予約が取れた」とLINEで報告した。
落ち着いてみると、さて私は何をしていたのだろうか、と考えざるをえない。すっかり何かに踊らされてしまった。いや、殆ど全ての高齢者が踊らされている。必死でつながらない電話をかけ、つながらないネットにアクセスし、苛立ち、落ち込み、さらに夢中でアクセスする。ようやく予約できて安堵する。でも、最初に書いたように、高齢者の接種を進めても感染防止にはあまり影響しないと思う。既往症や基礎疾患のある高齢者はかかりつけ医が責任もって接種し、あとは一律に職場、学校、集団接種会場で接種できるようにすればよかったのではないのか。その場合、私自身は大学で打たせてもらえればありがたい。
高齢者優先接種にはひとつ良いこともある。短期間で接種率を上げられることである。でもそのためにここまで踊らされるなんて。まあ、せっかく与えられた優先接種の機会なので、当日には万全の体調で会場に行くつもりである。
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所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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ワクチン接種に踊らされて
2021.06.06