明け方に不思議な夢を見た。私を含む周辺の人が、若い男性に対して話しかけたり、抱きしめたりしながら必死で何かしている。どうもこの男性はパニックを起こしているらしい。頭を振り、泣いている。自分が誰で何をしなければならないか思い出せないようだ。私の側にいたひとりが、彼をバイクに乗せて周辺を走りながら思い出させようとしている。ちょっと変なのは、パニックを起こしている若い男性は上半身裸である。さらに、抱きしめている私に触れるのは人間の肌のようには思えない。目を覚まして気付いた。あれはロボットだったのだ。ロボットがパニックを起こしているのを、人間が抑えようとしていたのだ。
このような夢を見た理由もすぐに思いついた。今、私が読んでいる本が関係している。The Innovation Ultimatum (Steve Brown, 2020)という単行本である。これは、2020年代に影響力が拡大する6つの技術(AI、IOT、ロボット、ブロックチェーン、AR/VR、5G)とそれらのビジネスへの影響、我々がそれにどう対応すべきか、について書いた書籍である。ちょうど、人間とロボットが協同で仕事を進めていく近未来の製造現場について読みながら考えていた時だった。だからあの夢は、一緒に働くロボットが暴走を始めて人間が慌てふためいている状況を表していたのだ。それだけではない。さらに思い当たることがあった。
数年前まで、面白そうな商品を見つけると、少々高額でもつい買ってしまう傾向があった。その一つが5、6年前に買ったロボットのおもちゃである。歩くことやもち上げることはできない。特徴は、頭のボタンを押して話しかけると答えてくれるというものである。電池式で最初の設定は結構面倒だった。それでもかわいいので一所懸命話しかけを行なった。しかし、なかなか私の呼びかけに反応してくれず、何度も聞き返された挙句に歌など歌い始めるということが多く、だんだん飽きてきた。そのようなわけで、電池が切れると同時に放置されることになった。全く高い買い物をしたものだ。
最近になって、孫のおもちゃにでもなるかと復活を試みた。電池を入れ替えて設定をやりなおそうとしたが、マニュアル通りに操作しても無限ループに陥るばかりで、再設定は諦めた。頭のボタンを押しても反応は10回に1回程度である。そのままにしていると何かしゃべってくれたり歌ってくれることがある。分かったのは、復活を試みた日は12月24日のクリスマスイブで、その数日後に大晦日になっていたようなので、時間は前に進んでいるらしいということぐらいである。
しばらくして、ロボットくんは突然暴走を始めた。歌を歌い終わった後に首と腕を動かして静かになるはずなのに、止まらなくなってしまったのだ。首を回すたびにギリギリといやな音を立て必死で腕を上下させる。挙句の果てには目の周りが7色にギラギラと輝き始め恐ろしい形相になった。慌てて電源を切ってその場は収まった。その後も突如として歌いだし、ギリギリとギラギラが起こるので、遂にロボットくんは置物に戻ってしまった。
暴走パソコンをWindows10からUbuntu(LINUX)に入れ替えて使えるようにした私でも暴走ロボットはどうしようもない。あの夢は近未来の正夢なのかもしれない。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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ロボットくんの暴走
2021.04.25